優しい夫

2019年11月05日

魔女と言えどもお休みはあります。

友人もいます。家族もあります。彼らと共有する時間はとても大切で、毎日がサスペンスドラマのような

日々を送っていると、自分が自分たりえる貴重な時間がそれだと確信を持って言えます。

なんにでも、安らぎと安息は必要です。

 

その彼らと、ほぼ定例になっているBBQを先日も行いました。今回は、それぞれの子供たちが

文化の日ということで所用が重なり、久々のミドルたちだけの集まりとなりました。

季節柄の芋煮や、信じられないくらい肉の垂れ下がったスペアリブ。焼き芋。黒豆やら小豆だんご。

長い付き合いなので、食べることも喋ることも遠慮なしです。

「聞いてよ。」とH夫。H妻は今年大病を患って、みな心配していましたが、今ではすっかり良くなって

今回ももちろん参加しています。

この夫婦、確かに以前から仲の良いことはこの上なし。しかも夫婦がリスペクトしあっていて、私の他の

友人たちと一緒になると、みながみな「Hさんのご主人偉いよねぇ。あんなに奥さんのこと人前で

褒めるなんて、うらやましい。」と言います。

私たちはまだまだ、そういう世代に生まれているのです。夫はやたら人前で妻を誉めません。

 

そのH夫の告白です。

「この前の日曜日よ。嫁は早起きやから起きているよね。オレ起きたばっかり。今から歯磨きしょうかって

時よ。」

皆は、うんうんと相槌うちます。このH夫、話がなかなか上手い。

 

「ねぇ。海鮮丼食べたくない? って言うから、おお。ええよって言うよね。」

そりゃ言うでしょ。頭から、いやだ!なんていう夫は、そもそもこのBBQには参加していません。

「そしたら、じゃ今から境港行こうよ。あそこの海鮮丼、テレビで見たらおいしそうやった。・・と

言うんよ。今から? さかいみなとぉ?・・お、おうよ。って言うわな。」

「で、行ったわけ? それから?」と私。

というのも、ここから鳥取県の境港までは直線距離で300キロくらいはありそうなんです。

「行ったよ。それから急いで着替えて、昼に間に合わんといかんし。」

 

おおっ~

誰からともなく上がる声。まるで他人事のように微笑むH妻。

「やるねぇ。H夫。そうなんや海鮮丼に境港まで行くんや。」

私を含めた他の女たちが、何を考えたか、それぞれの相手には判ったのでしょう。

不安げな、視線で男たちはアイコンタクトをとっています。

 

「お父さん、来週は紅葉やね。早起きするけど行くよね。なんたって県内のことやから。」とK妻

「日曜日のモーニングにさっさと動けるよね。喫茶店なんて、境港からしたら隣の家みたいなもんやし。」と私

 

それぞれの伴侶は、恨めし気にH夫を見つめます。

全く、なんてことを言ってくれたんや。この女どもがこんなおいしい話、黙って見過ごすはずがないやないか!

明らかに目が抗議しています。

 

「ま、オレも車嫌いやないし。二時間ちょっとやしな。」

なんて言い訳。そんなはずないでしょ。300キロだよ。一発免停だよ。

 

それからは、二言目には「境港行くよりはねぇ・・」が、女たちの合言葉になりました。

 

「いいよね。H夫には浮気の心配はないよね。」とT妻

 

いいえ。そんなことはないのです。

妻を愛していても、浮気をしないということはありません。

ましてや、優しい男。まめな男は女がほっとかないのです。

これ、H妻には言えませんが、そういうものなのです。

浮気は自分からアクションするだけではないのです。そして人は男も女も他人からの

アクションにはとても弱いのです。

くれぐれも、ご用心を・・・・

 

 

 

 

 

 


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