現場の声
よくこの仕事に就きたいという声を聴きます。相談員であったり、調査員であったり、
問う人は一緒くたにして聞いているのでしょうが、「どっちやねん!」と、突っ込みたくなることも間々あります。
尤も、この仕事は外から見えるわけでもなく、大々的にコマーシャルしているわけでもなく、時々ドラマや映画で
本物とは全く違う「探偵」さんが活躍したり、しなかったりなので、その本質が大多数の人に見えていないというのが
本当なのでしょうね。
この仕事の現場は辛いです。過酷です。
やぶ蚊の夏の叢で待ち受けたり、霙の駐車場でえんえん待ち続けたりは当たり前です。
じみーで、忍耐の仕事ですから「定年なったから、ちよっとやってみようかと思って」なんて電話が
入ると、ちょっとからかってみたくみたくなります。
「失礼ですがお年は?」
「62です。定年退職して間がないので元気ですよ。」
「前職はどういったお仕事ですか?」
「事務職です。総務でおりました。」
(あーそうですか。デスクワークの長いおじさまが、定年退職の暇つぶしに調査の現場にでようかと
おっしゃるんですね。ざけんじゃねーよ。←ついチコちゃんになりました。ファンなので)
「100メートルは何秒ですか?」「は?」「100メートルの速さです。50メートルでもいいですが。」
「いやぁ。測ったことがないので判りませんが、桐生よりは遅いです。」
(当たり前だろ!)と叫びたいのをぐっとこらえます。
「なんでそれが必要なんですか?」とさらに元総務のおじさま。
「この仕事は対象者にバレて取っ捕まりそうになったり、近所で不審者と間違われて通報される前に
ダッシュで逃げたりすることが多いんです。その時逃げ切れるかと思いまして。」
一瞬息を飲む音が聞こえました。
「それから、片手運転できますか?」
「できます。」これは自信ありげです。
「ではそのままラーメン食べられますか?」
「へ? ラ、ラーメン。運転しながら?。それは無理でしょう。」
「できないのですね。」さらに続けます
「15時間くらい飲み食いなしでトイレなしって耐えられますか? 血糖値だいじょうぶですか?」
たいていの場合、このあたりで自分の考えの甘さに気付いて志を曲げる方が殆どです。
なかなかお気づきにならない方は、このあと更に過酷な質問が待っております。
もし、ご希望なら一度試してごらんになりますか?(笑)
それでもこんな現場が好きな私たちはマゾっ気たっぷりの集団なんでしょうね。
楽して稼げる素行調査はない・・これは現場の生の声です。。。