電話
明け方の相談電話は正直辛いですが、24時間で相談電話対応いたしますと明記している以上、明け方も
真夜中もありません。
電話が鳴れば「出る」これはもうパブロフの犬並みの反射神経です。
午前5時を明け方と言うか言わないかは、それぞれのご判断でしょうが、ともかくかかってきました。先日も。
「こんな時間に大丈夫でしょうか?」
って、掛けてきて、出させておいて今更それはないでしょという思いは飲み込んで(笑) 「はい。大丈夫すよ。」と
営業スマイルを顔の見えない相手に投げる私。ホントに、誰も言わないから自分で言いますが「サラリーマンの鑑」だと
思いますよ。(サラリーマンって、あなたはもうサラリーマンではないでしょ。それは遠い昔の働き者だった
時代の話よ。←カゲの声)
時々雑音のように混じるカゲの声は無視して、話を促します。
電話の主さんは40代のお母さん。19才の娘が二年付き合った彼が二股をかけていた。
今はその新しい彼女とのデートをSNSで上げている。それでは娘があんまり可哀想なので相手の女性の
実家にことの次第を話に行きたいというのです。
私は思わず絶句しました。
本音では「それはお母さん、あまりに過保護。あまりに親バカ」と言いたいのをぐっと堪えて
「それはことと次第によっては、犯罪行為とみなされますよ。」とまず脅しをかけておきます。
「えっ」電話の向こうで優しいお母さんが息を飲むのが判ります。
そこからが、年期の入った魔女相談員の独断場です。
そんなことをしても、なんの得にもならない。お嬢さんも喜ぶはずがない。
法すれすれのことをして、お金を使って、元の交際相手の彼氏からも呆れられ、結局お嬢さんが更に
傷つくだけですよと、お母さんを相手にコンコンと話続けます。
もうこうなったら、二度寝ができないと思ったら、説得に何時間かけても平気です。
面談5時間の記録も持っています。尤も私の先輩には面談一昼夜という強者もおりましたが・・(笑)
もともとは素直な性格なのでしょう。
お母さんは私の話を真面目に聞いていてくれました。
「私が娘の話を聞いて自分のことみたいに腹が立ったんですけど、相談したらなんだか少し冷静になれ
ました。そうですよね。そんなことしても何の役にもたたないですよね。」
「はい。むしろその反動が娘さんめがけてきたら、後悔しますよ。10代の恋愛は結婚の選択眼を養う
ウォーミングアップです。ほんとの恋はこれから始まります。お嬢さんと二人で旅にでたらそう話てあげて
ください。」
私はお嬢さんと二人だけの旅をお母さんにお勧めしていました。
お母さんは納得してお礼を言いつつ電話を切られました。
私の眠りはすっかり覚醒され、しかも仕事につながる話にはならず、徒労といえば徒労ではあるのですが
こんな電話や結末はそういやではありません。
むしろこうして、納得してくれるならそれに越したことはありません。
私たちは本当に必要な時だけ、そこに存在していればいいのです。。。