自分史の話
実は今、家人の自分史を執筆しています。
いや厳密には自分史と言えないのでハーフノンフィクションとでも
言いましょうか。
本人の思い出と、切れかけの記憶と、私の聞き覚えとだけですから、
物語のかなりの部分が「ツクリモノ」です。
ずっと昔に、テープ起こしの仕事をしていた時に、地方の偉い人の自分史を
手がけたことがありますが、あれは仕事ですので事実関係を実証したり
特定の人を非難しない。されないようにと、制約が多く、大きな印字のページ数だけ
稼いだような自費出版本で、本人のお誕生日記念とか、なんとか叙勲とのパーティで
会費と引き換えにお渡しする、誰もページを捲ることのない引き出物でしたから
作品としてはなんだか可哀想なものではありました。
そこに行くと、今回はもう、じゆう~
判らないところや、知らないことは私の自由に書いてよいことになって
いますし、登場人物は全部実名。
家人も時々、校閲しますがなんたって文字を読むという習慣のない人です。
いくらでも騙せますって(笑)
家人の母親という人は、なかなか波乱に富んだ人生を送った女性で、客観的に見ると
これが物語の人物としてはなんとも魅力的。
私と家人は、世間的に言う「家族」という枠ではないかもしれませんが、お互いに
自由に楽しく今の家族関係を楽しんでおり、こんな家族があっても
よいんじゃない?と、私がへらへらと言えるのは、この母の黙認があってこそです。
そういう意味では、私の意志と自由を野放しにしてくださったことに、心から感謝
しているのは正直な思いです。
家人の子供時代はなかなか波乱に富んでいて、まだ幼児期というのに原稿用紙50枚程度には
進んでいますから、この分だと300枚かな・・大河ドラマやねぇというと
急に気をよくしたのか、先日改まって私に封筒を差し出すのです。
「なによ。これ?」
「うーん。原稿料みたいなもんかな。自分のこと書いてもらっているし。」となんだか
照れているのか、困っているのかという様子です。
手にするとなかなかの厚み(・・・ん。。千円札かと一瞬は思いましたが、
そんなはずはなく・・(笑))ちょっと心は揺れましたが、私は家人が最も畏れ
拒否したがる鬼婆の微笑みを浮かべて
「いらないわよ。原稿料なんて。仕事でしてるわけやないし。自分も
楽しんでるしぃ。」と言ってみました。
それでも気持ちやからと押し付ける家人に、押し返して
゜「そんなことされちゃあ、自由に書けないもの。私の自由はその
金額では売れないもんね~」
えっぇぇぇ・・・家人の顔はハト豆状態になりました。
「ということは、もしかしてオレってすごく悪い奴に書いてるわけ?
○○子さん(母の名前です。家人は母を名前で呼んでいました。今もそうです。)は、
凄い悪女?」と。急に不安気です。
゜「ふふふ・・それは私の自由じゃん。どう書いてもいいって言ったよね。」
「確かに言ったけど、できたら少ない部数でいいから本にして、△△子ちゃん(これは
母の妹で家人の一番信頼する叔母です)にもあげようかと思ってたんやけど・・
なんだか不安。やめたほうがいいかな?」
「そうね。やめといたほうがいいわよ。とんでもない人間になってるかもよ。
そうなったら、あなた親戚中のつまはじきかもね。」
「げっ・・そ、それは困るかも。」
でしょう。だからそんな原稿料は貰わないのよ(笑)
私はどこまで行っても私です。
手加減したり、忖度することを、大人の料簡と理解はしますが
自分がそれをするしないは、また別の話です。
もうこんな自由に生きている私に、家人の亡き母も今更「嫁」だの
「姑」などとは求めないでしょう。
ま、もっとも求められても無駄ですけどね(笑)
さて、今日もpc持ち帰ってやりますか・・なんだか今の密かな
愉しみになっているというのは・・どういう性格ですかね。。。(謎)