寒い夜
暖かい12月と思ったら、来ましたね。寒波。
昨日の夜は凄い風で、我が家のイルミネーションも、何事かあれば大変と消灯することに
しました。なにより、昨日は大阪の心療内科の放火のニュースが流れ続けており、
火の始末には殊更に慎重になる夜でした。
それにしても、心療内科の放火の犯人が、患者さんだとしたら(十中八九そうなんでしょう
けれど・・)怖いですよねぇ。
いろんな電話を取っていますので、特に夜はそういう系のご病気の方からの電話はよく受けます。
もちろんお会いしたことも多々あります。
口はばったいですが、そこいらの若い精神科の先生よりも臨床回数は多いと思います。
私には治すことはできませんが、お話を聞くことはできます。
しかも、怒らせずに電話を切ることもできます。これもこの仕事の特技のひとつと心得ております。
過去には、紀宮清子様の婚約者と自称する中年のオジサンが、自分の婚約者が世間に晒されていると
相談してきたこともありました。
真夜中に隣のご主人が、屋根伝いに毎晩私の布団に忍び込んでくると慄いた電話をかけてきた
御年89才のご婦人もおられました。
もちろん彼らは本気ですし、悩んで困った果てに相談してくるのです。
ハエを追い払うように、簡単にあしらう事などできるはずはありません。
普段は普通に社会生活をすごしており、その時、そのことだけが違う世界に行ってしまうのです。
先日はかなりの年配の男性です。
「うちの前の道沿いになんやら金庫ちゅうのがあるんやけど、それは商店街の〇〇金庫と
同じかいの?」
いやあの・・そのなんやら金庫の名前がきちんと判らないと、同じかどうかは判りません
けど・・と言うと
「なら調べてきてくれ。いますぐに。」
・・・・今すぐって・・いま午前2時42分なんですけど・・・という言葉は飲み込みます。
「あなた様のおうちはどこですか?」
仕方がないので住宅地図で確認しょうかなと腹を括って尋ねてみました。
「そんな個人情報が言えるかっ。そっちで調べんかっ。」と明らかに怒り気味。
・・・あのねぇと開き直りたい自分を抑えて(なんで仕事になるとこんなに心が広く
なるんだろう。その心の広さを家族にも少し還元してくれと常々家族から切望されて
いることはこういう時には思い出しません。)
「では、申し訳ないのですが、こちらでは判りません。」と少し事務的に言うと
「なに! ここに困ったらお電話くださいと書いとるじゃろうが。だからしてやったんじゃ。」
もうこうなったら、受けて立つしかありません。
「はい。確かに書いてはありますし、お力になれることは多々あります。しかし
なんでもなれるかと言うとそれは違います。世の中にはできること、出来ない事が
ありますが、私どもにもできることと、出来ない事はあります。」
「うーむ。そうか、判った。お前んとこはできんのやな。」プッツン・・・・
どう判っていただけたかは、あえて問いませんがこれで彼も私もまた眠りにつくことが
できます。私は安らかな眠りに戻りますが、彼が安らかかどうかまでは、私には
判りませんし、そこまでの責任はご容赦いただきたいです。
でも、最近はこういう、私側から言えば理不尽な電話は多くなりました。
コロナのせいで、世の中がコロナの影響下、殺伐としているのは感じますが
その反動で心の傷が疼きだした人たちが増えたとしたら、これは困ったことです。
そんなことを考えながらニュースを見ていたら、いつまでたっても眠れそうに
ありません。
今夜は西加奈子さんの「夜が明ける」」を読み終えてしまいましょう。。。