変身
冬は大嫌いなんですが、唯一の慰めは夜空の華やかなことです。
自宅の周辺は住宅地なので灯りがあまりありません。しかし、ぼつんと一軒家・・
ではありません。
夜が更けてベランダに出てみると、空いっぱいに広がった星々が立体的に
遠く、近く瞬いているのですが、それが手に取るような近さなのです。
そんな時は、ここに生きている喜びをしみじみとかんじますね。
時々、間違えて飛行機の光の筋を流れ星と思ってしまうのは、ご愛敬として、
人は星を見るとなんでこんな抒情的な気持ちになるのでしょうね。
こんなおババになってもそう思うのですから、多感な時はどれほどだったか・・
えっ?? 失礼な、私にだってありましたよ。多感な時代。
ある意味今だって多感ですよ。日々に怒り嘆き哀しみ吠えているのですから。
我が家にはちよっとした天体望遠鏡があって、月見の夜とか、なんとか流星群襲来なんて
ニュースを見ると、家人がそそくさとベランダにセットします。
でも、実際に観測した方はよくご存じと思いますが、この天体望遠鏡は確かに大きくは
見えますが、動く月についていくのは大変。
まるで月とのおにごっこです。
それならば、ゆっくりと空一杯の星の中に月の存在を置いて、自分の位置で見る方が
よっぽど正しいです。
寒い夜はダウンを着込んでのことになりますが、それはそれで楽しいですよ。
家人からオーロラ見に行こうと誘われたら、絶対、固くお断りしますが、そんな私でも
こんな月見の夜は、我慢します。
こんな美しい静かな夜は、物の怪に騙されても、異界の扉が開いても
じっとその場を動かずに、月と星の蒼い光を浴びていたら・・・
ホンモノの魔女に変身するでしょうか???