歴史は語る
土日と読み進んで、ようやく終わりの見えてきた現在読書中の「春の城」。
敬愛する石牟礼道子さんの大作ですが、前後にその取材日記というか、方法を
かなりの量で入れていらっしゃるので、その厚さは七センチほどにはなるような
気がします。単行本で最低でも上下巻。上中下巻でも納得の厚さが一冊に収まって
いるのです。その読みずらいこと・・
私はどこでも読書派なので、ランチタイムと一人の時は本を持って出ます。
乗り物移動の時もです。人との待ち合わせにももちろん持参します。そのために
あまり刺激的タイトルが人目に付かぬように、革製のブックカバーで必ず
覆っています。
しかし、これだけの厚さになる持ち運びはちょっと無理です。何よりご飯食べながらは
開けない。仕事のバッグに入りませんから、一度持ってきた時は別にKINOKUNIYAの
バックにいれたものでした。
なので畢竟、この手の厚さの本は自宅限定で読むことになります。
そうなると、持ち運びの本がまた必要になって、同時進行で二冊、乃至は三冊を読み進むと
いう具合になるのです。
家人は、同時に何冊も読んで、筋がぐちゃぐちゃになるから厭だと言いますが、
それは本を読まない者の言い訳。戯言です。
何冊同時に読んでも、それがクラッシュされることなんてありえません。それぐらいの
整理はつくようになっているのです。人間の脳は。・・と、茂木(健一郎)さんも仰ってました。
か、どうかは知りませんけど。
ともかく、活字を追うということにかけては、幼稚園児にも劣ろうかという家人には到底
判らぬ世界です。
ついでにもうひとつ。家人の知らない世界に歴史の話があります。
彼の名誉のために言っておきますが、決して「アホ」ではないのです。
一応大卒ですし、兵庫県では名の通った進学校も出ています。
なのに・・なのに、信じられないほどの「歴史オンチ」です。
日本史も世界史も、彼の中ではラテン語並みの難しさみたいです。
そのくせ厄介なことに「時代劇」が好きときていますから、もうわけわからんの
世界です。
大河をみながら「え、どうして?」「この人はなんで死ぬの?」とまるで
幼稚園なみの質問を振りかけてくるのです。
・・・自慢ではないですが・・いや家人には自慢していますが、世間様に
自慢できるほどのことではないのです。。ややこしいですが(笑)
私はいわゆる「歴女」のはしりです。とくに日本史は、読書量からしても
大好物(笑)
そして息子は今はサラリーマンですが、一応中学高校の社会科の教員免許もっていますのも
私と亡夫の影響です。たぶん・・
息子と亡夫は当時、写真見ただけで、どこのお城か言い当てておりました。なかなかのものです。
で、そんな私が家人と大河でも見ていようものなら、余人には入り込めない空気が張り詰めています。
なまじ無知なので、案外鋭い原発的な質問してくるんですよね。
それを叱ったり、あざ笑ったり、ムシしたりで私の大河鑑賞はなかなか大変です。
しかも、大河の場合、過去の役柄の俳優さんのことも話題になりますので、我が家の
日曜日の8時代は、NHKさんに優良視聴家庭として顕彰受けたいくらいです。
なので最近は、大概の質問を「三谷さんってさすがよね。嘘とホントをうまく組み合わせるわよね」
で、かわしております。
そのうち、向こうも気が付いて「どこが嘘? どこがホント?」とまた聞いてくるでしょうけれど。
そんな私が一人の時間を堪能して嵌まりこんだ「島原の乱」
私はこの短い時代が、本当に好きなのです。
どれくらい好きかと言うと、まず新婚旅行で「原城址」に行きました。当時はすごく大変で
熊本側からフェリーで行きました。新婚旅行のメインは沖縄でしたがその帰りに一日かけて
島原城と原城址に立ち寄ったのです。
そして私の好きな時代作家さんの飯島和一氏の「黄金旅風」。これは死ぬまでに何回も読もうと
大切にしています。
島原の乱は時代出来事の多くがそうであるように諸説ありますが、私の認識はこの黄金旅風と
今回の「春の城」でほぼ出来上がった気がします。
特に春の城はキリシタンの思想と仏教思想の相似の根源。宗派とは何かの原始的な回答が
私の心の中にストンと落ちたような気がします。
そしてまた・・・猛烈に天草に行きたくなったのです。
天草と島原半島。
つい先日までは川崎秋子さんに魅了されて「根室」に恋焦がれていたのに
なんという多情。
その私に我が家の歴史オンチは、「しょせんは本の中だもんね。」とあっさり真実を衝くのです。
でも、彼がそういう私の案に乗って、行った先で、さも知ってますばりの虚勢を張る癖があることを
私は知ってます。。。