夏休み情景

2022年08月09日

東北地方の皆様には大雨被害が甚大で、ニュースで画面を見るたびに、「あ・・最上川が・・」と

俳聖芭蕉翁のように呟いてしまうのは、己の浅学故でしょうか。

こんなブログ上ですが、心からお見舞い申し上げます。

 

こんな殊勝なはじまりではありますが、この毎日の暑さにも拘わらず、元気に気を吐いているのが

子供の子供たる所以で、子供らの元気がなくなったら、もう世の中はおしまいです。

娘には二人の息子がいて、長男が中三、次男は幼稚園年長児と、年が離れております。

しばらく前までは、年が離れすぎているので、お互いに醒めた目で見合い、長男などは露骨に

次男のことを邪険にしていたのですが、最近は次男の口数が増え、人間らしい会話が成り立って

くるようになったからか、闘争もなかなか頭脳的解決を見るようになり、長男は論理的に相手を

言い負かし(当然でしよう。相手は齢6才ですから、これで次男に言い負かされていたら、長男の

存在感はゼロですよ。)

次男はその損得を本能的に嗅ぎ付け、自らが不利とあらば、母親でも、ジジでもなんにでも泣きついて

助成を請うというあざとさ。ただしババには泣きついてきません。彼はババがそんな泣き落としに

屈するようなことは絶対にないということも、本能的に知っています。

 

その二人に、新たな禍の種を持ち込んだのは、家人です。

家人は長男からも次男からもこよなく愛され、利用される「ジジ」です。

自ら「俺は彼らには絶対怒らない。命にかかわること以外は。怒るのはあなた(私です)の

役目よ。だってオレ、血が繋がってないもん~」と、これ以上ない卑怯な口実を弄するのです。

確かに、それは事実ですが、なんでも言うきいて、彼らの願い事叶えてやって、叱らない。

そんな大人は、子供からは好かれるに決まっているでしょ。

ほんとの大人ははね・・と、続けようとすると

「ホントの大人には君がなればいいよ。譲ります」と、さらりと躱すのです。

 

我が家には今、この兄弟の垂涎の任天堂switchがセットしてあります。

もともとは次男にせがまれてのことでしたが、家族でも楽しめるしと決めました。

ただ娘宅にセットしたのでは、もう時間無制限になりますので、我が家でするということが

条件です。

これはある意味、娘にとっても、渡りに船で、このswitch、新しいゲームはカセット販売では

なくて(それもあるらしいのですが)ダウンロードシステムになっていますので、我が家に置いておく

方が今後もなにかとお金がかからない・・・と、きっとほくそ笑んでいるでしょう。

いまは夏休みです。次男は手ぐすねひいておりました。例年の我が家のプールより、

なによりswitch。

ところが、彼にとっての不倶戴天の敵、長男が、塾のお盆休みを利用して参戦してきました。

私にはよく判りませんが、サッカーの新しいゲームで実在の伝説のプレイヤーたちをスカウトして

チームを作り、自分の作戦でゲームができるという「あこがれのサッカーゲーム」なのだそうです。

確かに、画面を見ていると、テレビの実況中継と同じ声のおじさんが叫んでいます。

長男いわく・・ちょーおもしれぇ・・なのだそうです。

そうなると、もう兄弟もなにもありません。夏休みも日々塾に通う長男は、せめてのお盆休みくらい

参戦させろと言い、次男は自分がやりたいものができないと母に泣きつき、ジジに泣きつき、

ババ・・には、きません。

仕事から帰ると、ここ数日、我が家は阿鼻叫喚の中にあります。

 

もともとswitchは長男に買ってやると家人が言った時に彼は「いや、いらんよ」とすげなく言ったのですが

さすがに、ちょっと大きなっていたので、遠慮してたのかなと今では思いますが、

なにしろ人生最初の関門「高校受験」を控えている身です。

そうそう甘くはしておれません。親の手前でも。

そんな時、娘から

「今日、学校行ったらこんなんあったのよ」と見せられた写メ。

 

大人になったらどんな人になりたいですか。

大人になった自分になにを言ってあげたいですかという設問に各自が答えているのが

後ろ廊下に貼りだされていたと言います。

長男の他に、私も知っている何人かの子のものもありました。

「人のためになることができる人になりたい」「自分は人に親切にしたい」とかの答えの中で

彼は「自分はまだ自分を知らない。自分のことを知らなければ人には親切にしてあげられないから

自分のことを知りたい。」そして「自分のことが判る人間にななりましたかと聞きたい」と

稚拙な乱れた鉛筆文字でかいてありました。

 

「おっ。さすがは私の孫よね。そうだよ。自分を知らずして人のために生きられるなんてことは

ない。自分を愛せない人間が他人を愛せるはずがない。ぼーっとしているようだけど、聞くとこは

聞いてるじゃん。」と私は嬉しくなりました。

なのに、それを聞いた家人と娘は顔を見合わせて

「なんで、こんなとこだけ似たんだろ。」と囁き合っておりました。

その二人を見た次男が

「ボクもあーちゃんに似てるって、ママもいーちゃんも言ってるよねぇ」と満面の笑みで言うと

二人の顔からは、音をたてて生気が抜けていくのが見えるような気がしました。

 

神様は見ていらっしゃる。ババの願いは叶えられるのです。。。

 

 

 

 

 


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