真夏の悪夢
今朝のことです。
もともと私の出社は遅いのですが、最近のこの炎熱の日々、さらにずるずると遅くなって
おります。今日も、さてと用意して玄関を出ると、あれれ・・車がありません。
家人がもう乗っているものとばかり思っていたのですが、どこに行ったの??
しばらく待っていましたが帰りません。
待つという事が生理的に嫌いな私は迷わず、家人の携帯に・・
「ち、ちょっと待って。すぐ帰る」
たしかにものの三分もかからぬ間に帰ってきました。
「ちよっと大変なことがあったんよ。」
まい言い訳かと思いながら話を促します。
説明が致命的なほど下手な家人に代わって、私が要約します。
家人が出社の用意をしようと車のエンジンをかけ、ほどほどに涼しくなった車内で私を
待っていると、その視線の先に小学5年生くらいの男の子が赤ちゃんを抱えて通りかがった
のだそうです。
時は10:30を越え、ギラギラの太陽はいつからか容赦なく照り付けているいまこの時間に
小学生が赤ちゃんを抱いて北から南に歩いているのです。
我が家は南北に県営団地がある南よりの位置にありますが、うちから北へは300メートル
位田圃が続いていて、最接近の家からとしても、小学生はその300メートル以上を歩いて
来たことになります。赤ちゃんを抱えて。
もちろん、今のこの時間にその道を歩いている人なんて誰一人いません。
なんの遮蔽物もなく、帽子もかぶらず、もちろん日傘なんてありません。
家人はなんの躊躇もなく、車を降りてその子に近づきました。
「この暑いのにどこ行くの?」
「団地のおばあちゃん家に、弟を預けに行く。」と言ったのだそうです。
団地までは歩いて10分はかかるでしょう。しかも彼は赤ちゃん抱いています。
「そうか。判った。乗りなさい。」と家人はその子らを車に乗せて、おばあちゃん家まで
送ったそうです。
車中で赤ちゃんは月齢ゼロ歳と言ったそうですが、小学生は自分の年を言わなかった
そうです。おばあちゃんの住む団地に入って、三階までその子らが上がって部屋に消えて行く
まで見届けてから帰ってきたそうです。
よくやった。わが連れ合いながらここは褒めておきます。
それにしても、どんな事情があったにせよ、小学生の子供に赤ちゃんを抱かせて
おばあちゃんの処に、届させって・・
この炎天下ですよ。日々テレビで熱中症に気をつけてとか、発熱なみの温度とか
やかましく言われているこの時期に、なぜこんな判断ができるのか。
もちろんよほどの事情があったに違いありません。そう思いたいです。
世の中には私たちの理解や想像の外で暮らしている人はたくさんいることは
判っています。
それでも、そう言わずにはおれません。
ただ、家人にはしっかり言い渡しています。
もちろん今回のことは、賞賛するけれどこれからは、こういう時は私にも
知らせてと。こんなご時世です。男性が一人で他所のお子を車に乗せていたのでは
後々話がややこしくなっては困ります。
せめて、私も同乗してなにかの時には、説明しなくてはならないかもしれません。
こんなことを考えないといけない時代と社会を情けなく思いもしますが、
これが今を生きるということなのは承知しています。
何時の時代でも、「傲慢と善良」は背中合わせです。
それでも、子供の命と未来より大切なものはありません。
そのための余計なお節介との指摘なら、甘んじて受けましょう。
「そうだよね。君ももう十分生きてきたらね。」
・・何言ってるのよ。あなただって十分生きたでしょ。この期に及んで
一人だけ若ぶるんじゃないわよっ。。。