蕎麦屋顛末
この酷暑の八月もようよう終わる頃になって、少しばかりの秋の気配が朝夕には感じられる
こともありますよね。
観測史上とかいいながら、日々の温度を訴え続けていた気象観測士のみなさんもお疲れ様でした。
次はどんな観測史上がお聞かせ願えるのでしょうか。
そんな嫌味を呟きながら、先日は暑い最中、いつもいくお蕎麦屋さんにランチに参りました。
私の住んでいる処はうどんの国ですが、そこにもお蕎麦屋さんはあって、うどんと勝負しょうと
言うくらいですか、なかなかのお味です。
私も何十年も通っていますが、なかなかの老舗で若い頃は、そう気安く訪れることはなかったですが
おかげさまで、今は寄る年波と通う回数の重なりから、お店のオーナーさんとも、お運びのの
店の主のようなおばちゃんとも親しく声を掛けさせてもらっています。
余談ながら年始にここでいただく「七味唐辛子」は京都で用意しているのだそうですが、風味があって
なんとも言えない香りがします。
こんな暑い時は、お店の前まで行っても並んでいる人を見たりすると、もうそれだけで心が萎えて
そのまま帰ることもありました。
そしてようようありつけたのが先日のことです。
私はざるそばに小柱のかき揚げの小丼セット。もう私の定番です。家人は鴨南蛮の男ですが、
さすがにこの季節手は出しません。もともと、この季節にはうどんを冷たくしていたただこう
なんて不埒な男ですから、当然ですが。
ちなみに、私は冷たいうどんというものを認めていません。その理由は長くなるのでまた
後日改めて・・
さて、蕎麦屋さんでのことに戻ります。
着いた時は思いの外空いていて、私と家人はすんなり入店。そして先のメニューをオーダー
しました。お運びのおばちゃんとも「昨日は混んでいたのよ。」とか「死ぬほど暑いわよねぇ」
とか言葉を交わして、外出から帰ったばかりなのか、オーナーさんとも挨拶をしてお蕎麦
いただきました。いつも安定の味。美味しいです。
家人の方が食べるのが早いのですが蕎麦湯は私が作ります。家人は残さないので、全部
綺麗な空容器です。
店の店内をあまり見かけない、ちょっとかっこいい男性が泳ぐように行き来して空容器を
下げていきます。ありがとうございます。とか、いらっしゃいませとか声を掛けながらですから
いやな感じはしませんでした。ここまでは・・です。
そして家人の目の前の空容器を見ると、「これ、お下げしてよろしいですか」と聞いてきました。
「どうぞ」と家人。
私は蕎麦湯を飲んでいましたが、私のざるそばは1/3ほど残っています。「あ、これもよろしい
ですか。」と声を掛けられたので「どうぞ」と私。
そして彼はそれを厨房に下げたと思うと、また店内に出てきて、私たちに「あの、お済でしたら、
お待ちのお客様がいらっしゃるので・・」とにこやかに済まなそうなフリして言うのです。
言われて出入り口を見ると、確かに外にお客様が待っています。
でも、私、蕎麦湯まだ飲んでるんですけど。とは思いましたが、彼以外はみんな知っているこの
店のスタッフさんがいることを思い出し、「そうですか。」と席を立ちました。
「ありがとうございます。」とにこやかに言葉を投げかけた彼の顔はその時は質の悪いホストに
見えましたね。
確かに、言う通りお客様は外で待っています。私達も何度も外で待っていたこともあります。当然
ですよ。何十回も来ているのてですから。暑いことも判ります。
でも、食べ終わるか終わらぬうちに下げていいですか。蕎麦湯飲み終わらないうちに、「出て
いってくれ」はないんじゃないでしょうか。
私達は長居していたわけではないのです。蕎麦を食べ終わって、蕎麦湯飲みながら一言二言
交していただけです。
確かに彼の口調は穏やかで物腰は柔らかく、押し付けがましくはありません。でも、私には
この日の彼の対応は気に入りません。
変な例えですが、いまお気に入りのテレビドラマ「はやぶさ探偵団」の古川雄大さんの
役柄みたいな、いやーなかんじです。
私はこんな性格ですから、彼に一言とは思いましたが、オーナーさんや、いつもの
おばちゃんの手前、ぐっと堪えました。
常連になるって、辛いです。家人は常連になるのが好きなようですが、私はあまり好き
ではありません。その理由がこういうことでもあります。
行けば、黙って私のいつもオーダーするものを出してくれて、お支払いの時「暑いですねぇ」
「ほんとに。」こんな会話で終わる関係で十分です。
あのねぇ、私はあなたが生まれるずっと前からこのお店に来てんのよ。あなたに言われなくても
去り際ぐらい判ってるわよと、ここで言っておきましょう。
でも、二回目はないからね。。。
蕎麦屋の古川雄大! 覚えておきなさいね。。。