詐欺師の匂い振りまいて

2023年12月07日

我が家は支払い関係はすべて家人の担当なので、私はここ数年銀行にに行ってなんやらの

手続きをするということは殆どありませんでした。

それが今回、どうしても本人名義の口座がいるからと、何年かぶりで銀行カウンターに向い

ました。商店街の北詰めにある、わが地域の第一地銀の支店です。何年か前にレトロに

リノベーションして店内もシック。

 

私だって退役したとはいえ、元は主婦。

銀行口座の開設ぐらいは一人でできます。番号札を取って待っていると呼ばれました。

「すみません。最近は口座の新設はいろいろ難しくて。」

なんやら言うお笑いタレントさんの奥さんに似た物言いの、甘い口調が耳障り。

「そうでしょうね。」ととりあえず、お愛想。

どういう理由で開設したいかを説明すると、書類をもって彼女は上司らしい人のもとに走ります。

「あの、この住所でしたら本店のほうが近いですけど、なぜここですか。」

「ここが便利だからよ。商店街にあるし、確かにおたくの本店は一番近いけど、ここは雨には

濡れないし、そんなに距離があるわけてもないし。エ?  最近距離でないと作れないの?」

「いや、そうではないんですけど、本店が近いのになぜかって。今は詐欺とかが多くて、ここでも

何件もあったんです。だから厳しくなって。」

「それはそうでしょうね。自宅にも来ますよ。マネーロンダリングについてのお問い合わせとかね。」

「そうなんですよ。」お笑い妻(仮にこう呼んでおきます)は、またバタバタと走って上司の下に行きます。

待つこと10分。

「すみません。この住所には同じ会社があるんですけど」

「いや、違うでしょ。よく見て。」

「そ、そうですね。で、〇〇さんはうちでも口座はお持ちですか。」

「もってますよ。個人のね、本店です。」

「そうでよね。二つありますよね。」

・・・・ん。調べてるのか。ここでいやな気分。

私に断りもなく、別口座調べるってなによ。

 

「あのね。いちいち上司の方にお伺いたてに行くなら、上司をここに呼んで。私が直接

ご質問にお答えしますから。」

彼女はそそくさと上司のもとにいき、やがて上司が現れました。

ここまでで、私が来店してからゆうに30分は経過しています。

 

「ここでは口座の開設ができないということですか。」

「いや、そうではないです。ここでする理由はなんですか。」

・・・・いや、聞いてないんかいと突っ込みたくなりました。

「さっきも言いましたけど、ここが便利なんです。それと、言っちゃわるいけど、本店の

窓口、感じ悪い。」ごめんなさい。本店窓口の方。私は行ったことがないのでかんじ悪いかどうか

ホントは知りません。でも、理由づけで使っちゃいました。すみません。

 

どころが上司氏はその私の答えをスルー

「住所の近くで開設していただくことになっているんです。」

「は? ではできないということ?」

「いや、できないわけではないんです。本店に行っていただけませんか。本店にお口座あるよう

ですし。」

「あのね。その本店の口座、私が好きで作っているわけやないですよ。私が口座作った△△支店が

閉鎖になって、本店に吸収しましたって、事後承諾やったやないですか。」

「は、それはそうなんですか。」

「それでは、自宅の近くにお宅の支店が三つあったら、その距離測って一番近いところに

しなけりゃならないの?」

「いや、私はその地域しりませんし。」

・・・・・・これを暖簾に腕押し・・

「ここではできないということですね。」

「いや、そうではないのです。(そうでしょ。そうでないという理由がなによ??)。本店で開設して

いただきたいと。」

ここで私の忍耐が切れました。

 

「そうですか。判りました。本店で作ります。」

途端に上司氏とお笑い妻のほっとした顔。

「では、あなたの名刺ください。」

は? となぜか、2.3歩後さずりする上司氏。

「あなた方は私に身分証明ださせて、口座まで調べたんでしょ。なら私だって

あなたの名刺くらいいただいてもいいんじゃないですか。」

彼はあきらかに嫌気な顔。お笑い妻は上司と私の顔を交互に見ます。

「あなたたちが、詐欺に対応するために日々苦心していることは知っています。ご苦労だとも

思っています。でも、こうして口座新設にきただけで、犯罪者かもしれない扱いを受けるのは

不愉快です。」

「いや・・・」あとの言葉はぶつぶつとで、私には聞き取れませんでした。

上司氏はじつにゆっくりとさも厭そうに、名刺入れを内ポケットから出し、渡してくれました。

「じゃどーも。二度と来ませんから。」

 

私はもうこの銀行で口座作る気が失せましたが、支払の面倒考えたらどうしても作ってくれと

家人が泣いて頼みますので、いやいやながらその足で本店に向いました。

もちろんそこでは、時間はかかったものの、無事に開設はできました。

そっと担当さんに△△支店の対応のと聞きましたら「それは各支店の采配に任せられています。

あそこはちょっと厳しいと思います。なにしろ、昔はあそこが本店でちょっと意識が違いますから」

と、キュートに答えてくれました。

 

ただ、手持ちのその銀行のATMカードをお持ちなら本人確認が楽なので見せてくれと言われ

そのあとで、素知らぬ顔でまた免許書の提示を求められたことは我慢しました。

 

何年振りかでしたが、今の銀行はどこもこんなものなのですか。

それとも、私があまりに胡乱で怪しくて、犯罪の匂いをプンプン振りまいていたからの警戒

だったのでしょうか。詐欺師の匂いがしたのか・・・

ま、私も△△支店で上司氏に向って

「こんな対応だからネット銀行に負けるのよ。生き残れないわよね。」と悪態ついては

帰りましたけど・・・

 


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