果てしなき美食

2024年12月07日

冬になると旅番組でおすすめは必ず「蟹」です。

もちろん私も好きですよ。蟹。料金的なハードルさえなければ毎日でも食べたいです。

尤も、毎日食べられるようになったら、テレビもこんなに取り上げないでしょうし、

有難みも希薄になるでしょうね。

 

亡くなった母がよく言ってました。「昔は松茸なんてちょっと山に入れば丼一杯くらい

すぐに採れた」と・・

ただ、母は街生まれでもちろん親は山持ちでもなんでもなく、その頃採っていた松茸は

誰か知らない人の山で、それ「窃盗じゃん」というのは今の時代の話・・なんだそうです。

私が、そこを突くと(他人の山だということ)母は決まって厭な顔をして「あの時代にそんなこと

言う人は一人もいなかったよ。いい時代だったねー」と言いましたが、それは時代ではなく

たんに自分に都合の良いように言っていただけというのを、私はよく知っています。親子ですから。

 

蟹も同じようなもので、いやもっと不思議なのは、蟹は海の中を自由に歩き回っているはずなのに

取れた場所で赤や黄色、青色のタグを付けられ「越前蟹」「松葉ガニ」「ただのズワイ蟹」と

名前が付けられるのは地域差別ではないですかね。

しかも、海はだれのものでもなく、非難覚悟で言うなら、農家さんは自分の土地だけど、漁師さんはは

自分の海ってわけではないですよね。

漁業権というものに、どれだけの個人負担があるのかは判りませんが、海はみんなのものと認識する

私には獲れた魚を食べる資格はないのでしょうか。

 

そんなことをいろいろ考えていたら、何も食べられなくなるし、楽しみがなくなるよ。それでいいの?

と、家人に問い詰められたら、簡単に「そうよね」と自説を曲げちゃう私ですが、こういうことを

考えながら他の命をいただいているのです。

それがなに?とは言わないでくださいね。これでも、私なりの他の命への贖罪のつもりです。

ありがたくいただく・・この言葉が心に染み入る年になりました。

 

あと何回こうして美味しく「蟹」がいただけるだろう。

霜降りのすき焼きが楽しめるだろう。このコースを味わえるのだろうと思いながら頂くことが

増えました。感謝の気持ちを素直に感じるようになったかしらと思っていたら、またまた隣で

「そう言いながら、あー美味しかったという口の下、じゃ次はいつくる?って聞くじゃん。それって

これが最期と思っている人の言うセリフじゃないよね。」と家人。

 

この男は、私の弱みとミスを重箱の隅をつつくように暴くことが趣味なのかと思いますが、

それはお互い様と言われたら納得はしますので、ここでは責めないでおきましょう。

 

でも、一言

「そういうあなたは、私のおかげで美味しい酒が飲めてるんじゃないの。いいのよ。私は毎日

卵ご飯でもぜーんぜん構わない人間なのよ。」とは言い捨てておきます。

ここでもう一言反論すれば意地と見栄で死ぬまで卵ご飯で済ませる私であることを誰よりも

知っている家人はそこで口を噤みます。

私が卵ご飯ということは、もう一切料理をしないという事です。それは自宅でお酒を飲めないと

いうことですので、そんな自殺的セリフを吐くわけがありません。

負ける相手とは喧嘩をしない・・これがおババの哲学(?)です(笑)。。。

 

 


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