相談員試用期間20年

2019年12月07日

その母は自分のことを「毒親」と公言しています。

たいていそんな場合は、そうでないことが多いのですが、彼女はそうではないのです。

思い込みの深さと執念で、行きつ戻りつした感情はいつしか黒々と大きな瘤になって、彼女と

その子供たちを巻き込んだまま、月日を消化していきます。

飲み込まれた母と子は、そこから深い情念と曲がった理念を注ぎ込まれ、代わりに母から子へ

子から母へと伝わる親子の情を捧げて、何十年かたつと、立派な「毒親」と「その子」に

育つというわけですね。

 

最先端のIT企業に働く娘は、母の羽から逃れて、一人前になった今「あなたは毒親」と糾弾します。

でも娘自身がその毒牙から抜け出せていないことは百も承知です。

「あなたのせいで私は結婚できない。」

「あなたのせいで私は女としての楽しみを奪われた」と、母を責めるのです。

母に強要されて勉強に勤しみ、より高い大学を目指し、女性も対等に活躍し評価も得られると

言われるIT関連に務め、いまは現役バリバリで管理者教育のためアメリカにいます。

 

その娘が夜な夜な、IP電話で「あなたは毒親」「私の人生はあなたに狂わされた」と

かけてくるのだそうです。一時間ほど愚痴をまき散らして、意識もなく電話を終えて、そのまま

切ってしまうのだそうです。こんな日々がもう四か月近く続いています。

 

そんな折も折、降ってわいたのが妹の結婚話です。

妹は父母と同居していますから、母親を「毒親」と糾弾することはありません。

ありませんが、母はこの妹の婚約者に、自分が姉娘から毒親と糾弾されていることがばれるのが

何より恐ろしいのです。

自分の評価はともかく、妹娘までもが「毒親」に育てられたと知れたら、その婚約者はなんと思うか・・

そう考えると眠れなくなるのだそうです。

 

これはなかなか厄介なご相談です。この母の悩み事を解決することは難しいです。

毒親と信じている姉娘に、そうではないと言って、はいそうですかと簡単に言うはずはありません。

ましてや、今はアメリカです。

妹娘に、「お姉ちゃんが私(母です)のことを、毒親と言っている。あなたの彼に聞かれたら大変だから

彼とお姉ちゃんとは一生会わせないでね。」とお願いするのも、なんだか違う気がします。

 

ここはひとつ、毒親らしくまき散らしてみたらどうでしょう。

毒の花を・・・あたり一面に。

毒は毒を持って制すというではありませんか。その毒の花の中に咲いた二輪のあなたの娘さんはさぞや

清らかで清楚に見えるに違いありません・・・なんて一休さんみたいなトンチ話で終わるはずがありませんよね。

母を納得なせるには、もう聞いて聞いて聞きまくるしかないような気がします。

母のその自信の欠落が、姉娘の言葉からだけきたものなのか、もしくはもっともっと深い何かかが

どこかに隠されているのか・・・

どんな相談電話でもお聞きする。それが私のモットーです。

でも答えがでないときもあります。それでも私の薄い知恵と無駄に厚い経験でお話できることはあります。

この業界20年は伊達ではありません。自慢することでもありませんが、たいていのお話に

驚くことはないとおもいます。一度お試しください。。。

 

 

 

 

 


フリーダイヤル 0120-039-242