優しすぎる依頼者

2020年03月04日

国難は続いておりますが、日々それを綴るのもどうかと思い、本業に立ち戻ってみました。

それでも、できることはしておこうと、昨日から自分の行動を時系列に残しておくことにしました。

もしも感染したら、経路の判明に少しでも役立つかもしれないという、自分なりの貢献・・の、つもりです。

 

さて、そんな日々の中、もう一年も前に調査を終えているMさんから電話がはいりました。

夫の浮気で調査した結果は、もう真っ黒。会社の女子社員に手をつけ、その女子社員も既婚者。

しかも、社内で「社長の女」ぶるとは最悪の女です。

女は家付き娘で隣の敷地に親がいることをいいことに、小さな子がいるにも関わらず、

自分の派遣先の社長であるM夫と関係を持ってしまいました。

社内での二人の馴れ馴れしさはすぐに噂になり、社長夫人であるMさんの耳にも当然入ってきます。

Mさんが遠回しにやんわり注意しても、夫は聞く耳を持たず、女はますます増長してと、傷はどんどん

深く広がっていくばかりです。

そんな中での調査でした。

二人は注意を重ねるとはいえ、頻繁に会っていましたから、証拠は案外簡単に撮れました。

いまその証拠をMさんは持っています。

できることなら、穏便に済ませたいと思ってはいましたが、ことここに至ってはと、決心し

社内の一番古株の女性に相談したそうです。

すると、その人が女の夫・・ややこしいのでB夫さんとします。

Bさんとも面識があり、人となりも知っていると、話がすすみ、MさんはB夫さんと電話を交わす

ことになりました。

そしてすっかり、そのB夫さんに同情してしまったのです。

家事の一切を放棄して、M夫との情事に明け暮れる妻。その妻を叱責できない夫。

小さな子供を三人抱えて、しかもよくしてもらっている妻の両親も知らないこのことを

暴露して離婚することができないと泣き崩れるB夫さんにすっかり同情してしまったMさん。

 

自分が今、ここでM夫に証拠をぶちまけて離婚しょうものなら、B夫婦の関係も壊れます。

子供のことも、Bの両親のことも、そうなったらどう決着がつくか判りません。

そう思ったら、自分の夫を問い詰めることをためらってしまうのですと、Mさんは言います。

 

この優しさがMさん自身を苦しめるのです。

人に優しい人は、その分自分が苦しみます。人の苦しみの分を背負ってあげるのですから

そうなりますよね。

でも、私は尋ねるのです。その人は(ここではB)。あなたが苦しみを肩代わりしてあげて

他の誰かを幸せにしてあげますか?

もう他の誰かを傷つけないと思いますか?

黙って人に自分の苦しみを肩代わりしてもらった人はその痛みや苦しみの自覚がない分、

他人の痛みにも鈍感です。

気付かなくて、もっと多くの人を傷つけるかもしれません。

Bの夫は、Mさんに自分の苦しみを打ち明けていますが、これは卑怯です。

自分の苦しみをMさんに丸投げ状態ではありませんか。

 

優しすぎる私の依頼者は、こうして冷血な相談員の意見を聞いて、自分を鼓舞するのです。

私は、できうる限り、非情に相手を糾弾して、Mさんが自分のために生きる必要や手段や

理由を並べます。

私は、私の依頼者にだけ、優しくするのです。。。

 

 

 


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