夏休み感想文 その①

2020年07月29日

読もう、読もうと思っていた「女帝 小池百合子」を昨日読み終えました。

本を閉じてまず「う~ん。これだけ意地悪く書けるかね。」と思ったのは私

だけでしょうか。

 

最初にお断りしておきますが、私は小池シンパでもありませんし、かといって

彼女のことを「政界渡り鳥」なんて斜めに見てもいないつもりです。

彼女が東京都知事になって、新党を立ち上げた時は、いま安倍政権を倒すには

彼女しかいないと心の内で喝采したくらいです。

しかし、だからと言って彼女を支持しているわけではないのです。

訳の分からない和製英語を使って、なんやら煙に巻くのが好きな政治家くらいの

認識であったのです。

 

しかし読み終えて、確かに彼女に対する見方は変わりました。

すごく意地悪な書き方なのですが、それが正鵠を射ているだけに

反論ができないのです。

第三者証言であったり、証拠品であったり、冷静な時間経緯の検証であったりすると

彼女の嘘や虚像はいとも簡単に瓦解するのです。

 

もっとはっきりいうと、彼女の嘘は「単純な嘘」なのです。だからすぐに

ばれる。でも、言った本人はもうその言った言葉を口から吐いた時に忘れていますから

前言を否定したり、言わなかったことにすることになんの抵抗もない。

違和感も、痛痒も感じない。

大法螺吹きと言われた父と、顔にあざというコンプレックス。それらを

踏み台にして高みを目指した彼女の生き方を、私は悪いとは思いません。

こんな家庭環境で自己実現をしようと思ったら、普通の女の子でいたのでは

できません。

嘘も、媚びも、世渡りも、並み以上には必要でしょう。

 

これが夜の世界であったなら、彼女は伝説の「ママ」になって

いたかもしれません。国会議員、東京都知事としてまっとうな

正当な世界の君臨者になろうとするから、こういう目に合うのです。

彼女にとってこんな本は、取るに足りないと思っているかもしれませんが

もし、こういうことが躓きの一歩であったり、崩壊の後押しだったりするのです。

これは、長く世を生きていればおのずと判ります。

 

もう今更、生き方を変えてはいけないでしょうし、あなたがこうなった責任の一端は

あなたの色香(魅力というべきでしょうか)に、負けた歴代の為政者にもあります。

彼らはあなたにそう接せられることで、いい気持ちになったことでしょう。

いや、それは言いすぎるにしても悪い気持ちにはならなかった・・というなら

女を武器にした小池さんの勝ちですよね。

 

彼女はいつも時の権力者について、世の中の男も女も目下に見ている気がします。

あの「はい。はい。」と周囲の人の意見に対する反応の薄さ。あれは人の話を

聞いていない人の言動です。小ばかにしているとさえ見えます。

女を武器に男社会に入って、男として女を見る女に男女均等法は語れないでしょう。

 

私はこの作者の石井妙子さんの切込みもまた、女の闘いのような気がするのです。

この本はそういう意味では、女同士が血を流しあう闘いの場です。

彼女と石井さんと、証言者との・・

それを平然と見ている読者(もちろん私も含めてですよ)というのもどうかと思います。

 

しかし、読み終えて、かつて我が息子が小池さんのことを「いつも、権力者の隣にいる

嘘つきおばさん」と評しておりましたが、いまになればそれはあんがい

本質を突いたフレーズであったかもと今は思います。

 

それでも、あ~読んだなぁと、ある種の充実感が味わえるのですから

これは名著と言えるのでしょうね。

いつか、古本屋さんに売られていくにしても。。。

 

 

 

 

 


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