従兄

2020年08月13日

お盆休みに入ったので、早朝にお墓参りにいきました。

今回はずっとご無沙汰でさぞかし草も茫々でとんでもないことに

なっているかと覚悟を決め、軍手と草刈、雑巾とスチールたわしと

用意万端で行ったのですが、案に反してお花こそありませんが、

周りの草は綺麗に刈り取られ、枯れた花の残骸は捨てられ、墓石は

綺麗に磨き上げられています。

 

周りのお墓はもうすでにお参りしている処も多く、あのままだったら

なんと親不孝なままだったかと思うと、きちんと掃除をしてくれていた

従兄には感謝感激です。

彼は一族の中では最も成績優秀な男でしたが、一浪のあと方向を

見誤り、修正しょうと某社の中途採用試験を受けました。

ところが、そこには成績は優秀だけれどなんといっても口が悪く性格はゆがみ

しかも偏屈な従妹が(・・私です。)勤めており、このままでは自分は年下のあの従妹の

後輩になると恐れ恥じたのでしょう。

さっさと辞退してしまいました。

 

でも、私は一年後に結婚退社しましたし、自分で言うのはなんですが

半官半民の当時ではなかなかの勤務先であったのです。給料は安かったですが・・

希望すれば、全国のどこでも転勤もできますし、別に同じフロアで仕事しなくても

よかったのです。

それを、試験後に私の姿を見たばかりに・・アホです。

 

それでも子供時代、一人っ子の私はこの従兄たち三兄弟と夏休みはいつも

一緒でした。

お互いの両親はともに働いていましたので、夏休みの間は兄弟はずっと我が家で

寝泊りしていました。

学校区は違うのですが、毎年のことなので彼らはうちの近所でも有名な

悪ガキ兄弟でした。おかげで私は学校でいじめられることはありませんでした。

 

思えば三兄弟は長兄以外は生きることが下手でしたね。

性格は大らかで、我が家の息子も娘もこのおじちゃんたちが大好きなのですが

成長すると、どうやら生き方の下手な大人だなということが判ってきたようです。

 

と、言いつつも、私は彼が好きです。

今は同じような性格の妻と一緒に大衆食堂を営んでいます。

嫁に行かずにキャリアを重ね転勤を繰り返す娘と、親元を離れられない

年の離れた長男と四人で行く、年に一度の家族旅行がなによりの

楽しみという時の彼は目じりが下がって昔のままです。

我が家の墓には父と母がいます。彼にとっては親戚中で一番親しい

伯父伯母です。

私が不義理をして墓から遠ざかっていても、黙ってお墓の周囲を

綺麗にしてくれます。それを私に伝えることはありません。

遠ざかる私を責めたり、諫めたりもしません。

私がお礼を言うと

「なーんも、伯父さんやからな。」といつもと変わらず目じりを

下げて笑っています。

 

生きざまは下手糞だと思いますし、もっと能力と力を発揮できる場は

あったかもと私は思いますが、それはたぶん私が俗人だからなのでしょう。

彼はもしかしたら、私などが及びもつかない幸せに気づいているのかもしれない。

 

ただ彼は、食べログで「店はきたないけど味は最高」と評された自分の店に

身内は誘うのに私には一斉お誘いはなしです。

娘夫婦は「お代わりはなんぼでもしてええで。」と言われて大喜びです。

私はお代わりはしませんし、代金も色をつけて支払うつもりです。

それなのに・・・

家人は言います。

「そりゃあそうよ。だって食べログであれだけ汚い店って

書かれてるんだよ。君が行って黙って帰るはずないでしょ。何言われるかと

思ったらも怖くて来いなんて言えるはずがない。」と。

・・・なるほどと妙に納得した自分が見えたのもお盆のせいでしょうか。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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