四国カルストの夜

2020年09月12日

台風が過ぎ去っての火曜日。

念願の四国カルストに行ってきました。

もう何十年も前に家族とお友達ファミリーで行き姫鶴平のでキャンプを張って以来です。

あの時は、夜中にテントの外をのっしのっしと歩く牛の気配と、息遣いに、慄きながら一夜を

過ごした思い出があります。

その印象が強烈で、あとのことは殆ど覚えていないという、自らの記憶の曖昧さに

恥じ入るばかりです。

 

それが先月、高知に実家のある友人から姪が行ったんやけどと、四国カルストの

星空の写メがラインで届きました。

そのあまりの美しさに、まず家人が「行こう」と言い、私も心惹かれました。

後にその写メは、ポスターの盗作と判りましたが、こんな盗作は可愛いものです。

 

星空を見るのですから当然泊りで、しかも晴天でなければなりません。

なんども宿泊日を変更してのやっと火曜日です。

 

昔は細くて急な坂道で、当然対抗不可の続く杣道でしたが、宿泊先の

「天狗荘」でリサーチすると、林道が広く整備されているとのこと。

しかも、ナビで検索すると、国道や県道が優先されるので注意してくださいと

までの親切な説明。

早朝に自宅を出て、一路四国カルストへの高知からの入り口津野町を

目指します。

いよいよ林道に入ると、前日の台風のために道を整備しているおじさん軍団に遭遇。

天狗高原に行くというと、「ならまだ早いけん。この先の長沢の滝によりぃや。」との

アドバイス。私も家人も旅先での地元のアドバイスには従うことにしています。

 

それはそれは見事な滝でした。水量もたっぷり。高低もあるので迫力も十分です。

朽葉の向こうには、早い渓流が音を立てて流れます。

誰もいない、しんとした空気の中、山の呼吸と滝の叫びだけが静かに響きます。

中国の水墨画でも、ナイヤガラの滝でもない、日本の滝が美しくたおやかにその

姿を見せてくれます。

 

心を残しながら30分も行くともう四国カルストの頂上。天狗高原です。

姫鶴平までの4キロには、カルスト台地特有の、ゴロゴロした石と黒い牛たちが

鷹揚に草を食んでいます。

「四国のスイス」と家人は言いますが、ちょっと賛同しますね。

空気が軽くて濃い。死にかけた時に当てられた酸素吸入器ぐらいの

清涼感と言うと、まだ死にかけたことがないから判らないと、家人に

軽くあしらわれましたが、本当にそういう気分です。

 

夜になって、いよいよ待望の星空です。時間待ちに殊更ゆっくり夕食を

取って満を持しての夜空です。

天狗荘は高台に立っていますから、玄関をでると目の前がもう空なのです。

見上げると星がひとつ。ふたつ・・みっつ・・・

なんと、じっと見つめていればいるほど、見える星の数が増えていくのです。

人間の眼というのはなんと素晴らしい精密機械なのでしょう。

そうなるとすぐに、天の川が手に取る位置に見えてきます。

ゆったりとくねる天の川は、まるで夜空に咆哮する龍です。

静かな、けれでも十分な威厳と力を目の前に見せてくれる神なる龍です。

おしゃべりな私も家人も暫し、言葉を忘れて空に向かったまま、張り付いたように

視線を動かせませんでした。

天空は偉大です。

清冽な空気の中、散りばめられた星々の中をたゆたゆと流れる

天の川は私たちを魅了しました。

温泉もいらない、美食もいらない(展望風呂はありました。お料理もおいしかった

です。特に山女魚・・)

こんな夜は、最高の贈り物をいただいたような気がします。

折角、素敵な余韻を思い出したので今日はこれまでで・・・

この続きはまた明日。。。

 

 

 

 

 

 

 

 


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