長門から足立美術館へ③

2020年12月17日

起き抜けに家人が「朝、もう一度角島に行こうよ。夕べバスが灯りを消して走った

ところを検証したい」と言ったことが、この日の波乱の始まりでした。

朝の灯台は行き交う車も少なく波打ち際はひときわ荒れて、これぞ日本海を

満喫できる景観でした。ラインを送った従妹から「そんなとこにいたら北朝鮮に

拉致されるよ」の警告でその場を離れましたが、よーく考えれば拉致しても

もうそう先のない私たちを捕獲するほどのおバカではないかと思い直したりもしました。

(あんまり賢いお国とは決して思ってはいませんが・・)

 

それから、今日の予定の家人があらかじめ予約を入れておいた「里山レストランajikura」に

向かいます。今日は日本海を見ながら車を走らせるのと、ここのランチがメインなので

余裕~・・・の、はずでした。

まずは昨日の道を帰ります。あれ?・・案外遠かったんだと、改めてレストランをナビにいれると

なんと到着時間は14:40

 

そんなぁ・・これってランチ時間すぎちゃうじゃないのよ。

家人は「高速があるから大丈夫」とは言うものの、走られた方はご存じと思いますが

この日本海コースの高速はまだまだ建設途中で、無料区間がとぎれとぎれにあるのですが

なんとも短い。高速と名前つけるなっ!と、叫びたいくらい短い。

これは無理だと、レストランに電話を入れると「大丈夫です。たぶんそこからだと

13:30くらいに着きます。お待ちしていますからお気を付けていらしてください。」との

回答。

いい人ねぇ・・と、思い直し家人の運転にも気合が入ります。

右手に日本海を見ながらのドライブは景観的には、すごいすごいの連発で、

これぞ日本海のダメ押しみたいな景色が続きます。

なんどか来た、なつかしい萩の街も車窓から「あ、萩駅。」でおしまい。

 

しかもこの道・・なんとも工事中が多い。そして大抵その場合、信号付の片側

交互通行なのです。

どうみても13:00代には無理。そこで今度は私が電話をかけました。

「13:30には無理です。このままだと14:00も危ない。うちとしては待っていただくのが

忍びないのでキャンセルにしてもらってもいいのですが・・」

「いえ、いいですよ。14:00すぎてもお待ちしていますから、どうぞお越し下さい。」

判りました。そこまで言っていただけるなら行きましょう。

ええ、行きますとも。到着してランチをテイクアウトという形になったとしても、それは

仕方ありません。私たちの責任ですから・・

「え・・1万円のコースなんだけど・・」と、つぶやく家人は無視しました。

あなたは運転すればいいのよ。より早く。より安全に・・

 

そして到着は14:20・・・

到着して判りましたが、ここは島根と広島の県境。瑞穂スキー場の近くです。

なんでこんな遠いところ予約したのよぉ~と、責めたいところをぐっとがまんしました。

到着すると、若いウェーターさんが店の前で待っていてくださったのです。

若き頃の太川陽介さん(バスの旅のあの方です)みたいな、笑顔で「ようこそ。」と

声をかけてくれました。

そんな前で、なんでよぉ~とは言えません。大人の嗜みとして。

 

里山レストランajikuraは、山深い中にありますがとてもモダンで、産地の野菜や肉を

メインのイタリアンです。

アンティパストから、思わずおお~と声がでそうな美しさ。

太川氏が(ほんとのお名前は知りませんが・・)にこやかに説明してくれます。

野菜はもちろんのこと、浜田産のアオリイカのタリオーニ。

石見ポークのコトレッタ

石見牛のイチボのしじみ岩海苔ソース

なんだか、食欲の自制という枠を簡単に越えてしまいそうな品々。

本当に、諦めなくてよかった。

たどり着いてよかったと、しみじみ思いました。

私たち二人しかいないのに、厨房もサーバーも、女の子もみなさんで

待っていてくださったのです。

広いレストランに二人だけの贅沢なランチ。

たいへんでしたけれど、余りある素敵な時間をすごすことができました。

そこからは太川氏が出雲大社までの道を教えてくださり、運転は私に変わります。

 

ハンドル操作の試験かと思うばかりの山道を抜け、出雲大社の大鳥居まできたときには

もう外は真っ暗。

それでも夜の日本海もまたすばらしい。

漆黒の空と群青の波と、それに抗う白い波が砕け散って、これがこの世のものと

思わずひとり語りしそうな景色です。

そして今夜の宿、佳雲へ・・

佳雲は貸切露天風呂が七つほどあって自由に入れます。

私たちは先に食事ですが、なにしろイタリアンのフルコースたべてまだ三時間しか

たっていません。

それでも、その時間の予約していたのも、これまた自分たちですから

ま、食べられるだけでいいかと席に着いていました。

ここがまたすばらしいお料理で、できることなら昨日の夜食べたかった・・

こんな時は、我が娘の胃袋が欲しいと家人と心の中で叫びながら箸を置くのです。

部屋はほんとに素敵でした。和洋折衷でベッドが三台。どう寝るかは話し合いで

決めました。各枕元にはコンセントが付いていますから、携帯の充電もばっちり。

次の間には大きな嵌めガラスの窓があって部屋だけの小さな中庭。正面にかなり

年期の入った桜の古木が枝を広げています。これ桜の季節にきたら、さぞやと

思うばかりの風景を拝むことができるでしょう。

奥には小さな個室露天風呂。これは温泉ではないのですが、実に風雅。

朝ごはんの前にお湯をはり、ごはんを終えてのお風呂の贅沢と喜び・・

さて、充電ばっちりで最終三日目の出発です。。。

 

 


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