自分史の話

2021年03月11日

実は今、家人の自分史を執筆しています。

いや厳密には自分史と言えないのでハーフノンフィクションとでも

言いましょうか。

本人の思い出と、切れかけの記憶と、私の聞き覚えとだけですから、

物語のかなりの部分が「ツクリモノ」です。

ずっと昔に、テープ起こしの仕事をしていた時に、地方の偉い人の自分史を

手がけたことがありますが、あれは仕事ですので事実関係を実証したり

特定の人を非難しない。されないようにと、制約が多く、大きな印字のページ数だけ

稼いだような自費出版本で、本人のお誕生日記念とか、なんとか叙勲とのパーティで

会費と引き換えにお渡しする、誰もページを捲ることのない引き出物でしたから

作品としてはなんだか可哀想なものではありました。

 

そこに行くと、今回はもう、じゆう~

判らないところや、知らないことは私の自由に書いてよいことになって

いますし、登場人物は全部実名。

家人も時々、校閲しますがなんたって文字を読むという習慣のない人です。

いくらでも騙せますって(笑)

 

家人の母親という人は、なかなか波乱に富んだ人生を送った女性で、客観的に見ると

これが物語の人物としてはなんとも魅力的。

私と家人は、世間的に言う「家族」という枠ではないかもしれませんが、お互いに

自由に楽しく今の家族関係を楽しんでおり、こんな家族があっても

よいんじゃない?と、私がへらへらと言えるのは、この母の黙認があってこそです。

そういう意味では、私の意志と自由を野放しにしてくださったことに、心から感謝

しているのは正直な思いです。

 

家人の子供時代はなかなか波乱に富んでいて、まだ幼児期というのに原稿用紙50枚程度には

進んでいますから、この分だと300枚かな・・大河ドラマやねぇというと

急に気をよくしたのか、先日改まって私に封筒を差し出すのです。

「なによ。これ?」

「うーん。原稿料みたいなもんかな。自分のこと書いてもらっているし。」となんだか

照れているのか、困っているのかという様子です。

手にするとなかなかの厚み(・・・ん。。千円札かと一瞬は思いましたが、

そんなはずはなく・・(笑))ちょっと心は揺れましたが、私は家人が最も畏れ

拒否したがる鬼婆の微笑みを浮かべて

「いらないわよ。原稿料なんて。仕事でしてるわけやないし。自分も

楽しんでるしぃ。」と言ってみました。

それでも気持ちやからと押し付ける家人に、押し返して

゜「そんなことされちゃあ、自由に書けないもの。私の自由はその

金額では売れないもんね~」

えっぇぇぇ・・・家人の顔はハト豆状態になりました。

「ということは、もしかしてオレってすごく悪い奴に書いてるわけ?

○○子さん(母の名前です。家人は母を名前で呼んでいました。今もそうです。)は、

凄い悪女?」と。急に不安気です。

 

゜「ふふふ・・それは私の自由じゃん。どう書いてもいいって言ったよね。」

「確かに言ったけど、できたら少ない部数でいいから本にして、△△子ちゃん(これは

母の妹で家人の一番信頼する叔母です)にもあげようかと思ってたんやけど・・

なんだか不安。やめたほうがいいかな?」

「そうね。やめといたほうがいいわよ。とんでもない人間になってるかもよ。

そうなったら、あなた親戚中のつまはじきかもね。」

「げっ・・そ、それは困るかも。」

でしょう。だからそんな原稿料は貰わないのよ(笑)

 

私はどこまで行っても私です。

手加減したり、忖度することを、大人の料簡と理解はしますが

自分がそれをするしないは、また別の話です。

もうこんな自由に生きている私に、家人の亡き母も今更「嫁」だの

「姑」などとは求めないでしょう。

ま、もっとも求められても無駄ですけどね(笑)

さて、今日もpc持ち帰ってやりますか・・なんだか今の密かな

愉しみになっているというのは・・どういう性格ですかね。。。(謎)

 

 

 

 


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