継ぐもの

2021年05月10日

終末に娘家族と一緒に、コテージ泊を楽しんでまいりました。

ここは先々月に、友人夫妻と行ったところです。その時にとても素敵だったのでと

検索したらGWはもはや一杯。かろうじて明けた土曜日ならということで、一か月前から

予約しておいたのです。

 

それからコロナはますます勢いを伸ばし、どうなるかと思いつつの当日、

約束の時間に集合して出発です。

 

まずはお昼にとBBQテーブルとお肉を予約していましたので、お手軽~

なんて調子づいてましたが、炭を入れて・・・あ・・あぁぁ・・あ゛あ゛あ゛

なんとバーナーを忘れています。

炭を熾したことがあるならお判りでしょうが、バーナーがないと

もの凄い技術と体力がいります。もちろん家人にはその両方がありません。

いつもは、お師匠と呼ぶ、友人夫妻がいますから、必要品の忘れというものが

ありません。なにしろ常時コンテナにキャンプセットを用意しているお宅です。

こんな初歩的な「凡ミス」はありません。

なにしろ持参の調味料セットには芥子もワサビも、手製のオイスターソースまで

入っているのです。前回天ぷらしたときに、天ぷら鍋用意したうちが完全に失念

していた「固めるテンプル」まで用意していました。

 

しかし、そこは厚かましさと愛嬌で世渡りする家人です。たった二回利用しただけの

コテージのスタッフさんに、さも親し気にすり寄り、バーナーを貸していただき

ついでに忘れていた団扇もお借りして(これも必需品なのです)炭までいただいて

しまいました・・・みなさんいい人ばかりです。

 

 

 

娘の長男は中2、次男は4才と年の離れた兄弟ですが、この仲がなんとも

悪い・・なんてものじゃないのです。

親の仇か宿敵かくらいの険悪さ・・なのです。

その二人が私の事を「優しい祖母」なんて思っているはずはなく

長男の方は三才ころに私のことを「難しいあーちゃん」と呼んでいました。

そしていま・・次男に誰がすき?と、私が猫なで声で聞いてみると

「うーん。あーちゃんの一番はお兄ちゃんやし、ママの一番はパパやし、

ボクの一番はいーちゃん!」と答えるのです。

 

家人は嬉し泣きしそうな勢いですが、これって本質衝いてるような気もします。

私は次男と遊ぶ時も「一回だけよ」と言ったら一回で終わります。

この年頃の「もいっかい」攻勢には屈しません。

ですから次男ももう心得ていて、それ以上ねだることはありません。

でも、家人は延々と付き合っています。

だから「好き」なんでしょうが、本人はそれで痛く満足なのです。

誰よりも好きと言われることに、なによりの喜びを感じているのだそうです。

4歳児といえど、自分を取り巻く感情の機微を肌で感じているのでしょう。

がんばれ次男。世間の風は冷たいけれど、お前なら生きていける。

長男よりもずっと生命力にあふれていると、私は思っています。

 

さて夜になって、コテージでカレーと唐揚げを作ってテラスでいただきます。

長男の方はもう焚火の準備で手一杯。

友人夫がこの日のために切って届けてくれた木材を手斧で切り分け

フェザーステック(火がつきやすいように、ナイフで削るのだそうです)を

嬉々として作っています。

薪台の前から離れないのです。火の番が楽しくて仕方のない様子。

私と娘と次男が管理棟にある大風呂に行っている間に、陽が落ちたようで

そのあまりの美しさに「紅や・・」とXジャパンみたいなこと口走っていました。

もともと彼は古い歌このみで、カラオケでミスチル歌い続ける中2ですから(笑)

 

交替で彼がお風呂に行くときは「あーちゃん火の番頼む」と言われ

帰ってくるまでの薪と何歩本か切って用意してくれていました。

読みが甘く、その本数では足りませんでしたが行く前に

「もし消えても気にせんでいいよ。また点けるから」と意気揚々と

去っていきました・・

なんで私が気にするかっ。消えたらそれまでよ・・なんて悪びるものの

しっかり火の番はしましたけれど・・・

 

ぱちぱちと爆ぜる音を聞いていると、なんだか心が解放されるのだ

そうです。

長男いわく「男の子は、火が好きなんよ」と、したり顔で言ってました。

今回は土曜日なのでコテージは満室。テントサイトも一杯です。

それでも、同じデザイン、色彩のテントがないというのも不思議なものです。

そしてみなさん出し入れが早い。

あっというまに建て、折りたたんでいます。

慣れているとはいえ、それは見事なものです。

そのテントサイトも夜になると、焚き火の焔があちこちで

花開いています。

夜の帳のなかで、テントの灯りと焚火の火が、なんだか

この世とあの世をつなぐ橋のようです。

こんな風景を彼らと見ていることが、なんだか不思議。

 

私の命を繋ぐ者がここにいることが不思議なような、幸せなような・・

私の意志を継いでくれるわけでも、私という人間を継いでくれるわけでも

ないのですが、受け継いだ命を繋いでくれる・・ただそれだけで

暖かい気持ちになります。

・・それで、優しいばぁちゃんにはなれないけれどもね。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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