月夜に想う家業の真実
ふと夜空を見上げると、佇まいの美しい月が端然と輝いている夜があります。
満月でなくとも、月の美しい夜は何やら怪しく艶めかしい風が吹いてくるようです。
この業界に長くおりますと、テレビドラマや小説のような「素敵な不倫」というものは、存在しないものだなとしみじみと
思います。
時間を惜しんで、逢瀬を重ねている場所がファミリーレストランでテーブルの上には、フリードリンクのカップが二個、三個とか、
ポイントカードでぱんぱんに膨れ上がった角が擦れた財布から、ホテルの割引券をひっぱりだしたりとか、「不倫」という
名前のわりに、やっていることがみみっちい。所帯じみていると思うのです。
結婚した相手が、思ったような人でなかった。結婚生活はこんなはずなかったと思うことは往々にあります、男も女も。
そんな現実の矛盾を越えて知り合い、今の自分の現実にはない愛を求めて始まったはずにしては、なんとも現実的で夢のない
逢瀬ではないかと、案外ロマンチストな魔女相談員は思うのです。
あなたがそれまで出会って育んで、いいことも悪いこともさらけ出せるような時間を紡いできた夫婦の歴史を、そんなふつーの
恰好つけない逢瀬のために、無にしていいの? と、自業のことも顧みず、声をかけたくなってしまうのです。
私たちの仕事の多くは、浮気調査にあることは否定しません。
こんなこと言えば、みずからの首を絞めることにもなりなねないとは思いつつ、尋ねられずにはいられないのです。
「あなたの不倫は素敵ですか?」と・・・