ながいながい決心

2021年10月06日

私は長く読売新聞の愛読者です。

いや、愛読者であったのは10数年前までのこと。

巨人軍がらみのことや、安倍政権へのあからさまなすり寄りなど、

見るに堪えないコメントが続くころから、「愛読者」ではなくなりました。

ただ、ライバル紙の朝日新聞のあまりの独りよがり記事と、地方新聞の

地元代議士提灯記事に嫌気がさしていたので、あえて変えなかっただけで、

けっして応援していたのでも、共感していたのでもないのですが、そんな私が

愉しみにしているコラムが二つあります。

 

一つは日曜版の「発言小町」

これは、一つの悩み事に対して賛成と反対と中立の三つの立場からのコメントが

ならべられ「ふむふむこんな見方もあるのか」と心を揺さぶられることがあります。

ものの見方というのは、立場が変わればこうも変わるものかという本当に良い見本です。

 

もう一つが「人生案内」

いわゆる人生相談ですね。これは回答者メンバーが秀逸です。

弁護士先生やお医者様、小説家に評論家。スポーツライターに漫画家と本当に

多種多彩でその解答のユニークに何度心で喝采を叫んだかわかりません。

メンバーは一年か半年で一人か二人抜け、その分新しい人に変わります。

そういう新陳代謝も必要なことと、この欄を見ていて感じました。

この人生案内は、確かに人々の人生の縮図です。

ここでの悩みの殆どは、根源的には誰もが感じるものと、大部分は受け止めます。

しかし・・・・

 

たまーに、どうしてもそうは思えなくて、興味と反発と好奇心だけで見てしまう相談事が

あります。今日のもののように・・・

 

相談者は20代。ずっと公務員試験の勉強していたのにすべて落ちてしまった。

自分はもう生きていく意味がない。自分の兄弟はみんな優秀で「勝ち組」

だけど私は彼らくらいの努力はしている。なのに報われない。あんなに努力したのに。

私はもう体を売るしかないのかもしれない。そこまでして生きる意味がわからないと

嘆いているのです。

 

読後はまず「アホか・・」と思いましたよ。真面目も行き過ぎればこうなるんだなと

思いました。

しかし唖然としたのはは回答者の漫画家さんのコメント。彼はなかなか

シニカルな風刺漫画の作者で私もよく目にしています。

その彼の回答が、何度読み返しても心に響かない。残らない。抽象的で

あなたは悪くない。あなたは以前のあなたを越えているという無条件のエール。

 

たしかに心の弱っている人に、強い言葉はご法度というのが、最近の流れで優しく

オブラートに包まれたほんわりした言葉だけが受け入れられる世の中であること

くらいは私にも判っています。

でもこうやって公器に悩みだと投書してくるくらいの元気はあるのです。

ホントに身を売るまで追い詰められた人はこんな処で暢気に相談なんてしませんよ。

(と、言ってしまえば身も蓋もありませんが・・)

それをこんな当たり障りのない回答で終わらせようなんて・・

このコラムの担当者が変わったのかしらと思いました。

そして、この相談を別の回答者だったらどう答えているのかしらと想像すると

俄然楽しくなりました。

今回の漫画家さんは回答者としては新人なのです。

 

いつものあの辛口女性評論家なら、あの現実的な弁護士さんなら、平易な哲学者の

風情のある精神科のあの先生なら・・と、いつもの回答者の方々が浮かびました。

 

そしてもうひとつの結論にも行きついたのです。

この欄は私が好むくらいですから、優しい言葉ばかりを投げかけているわけでは

ないのです。私の何倍も辛口の回答者さんたちの今までの流れを少しづづ

替えて行こうとする新聞社の陰謀なのかも・・と。

一度にあからさまな回答者の刷新をしてしまったら、私のような読者や回答者ご自身の

怒りやこだわりに触れるとめんどうなことになるので、少しづづ世の流れに

乗せようとしてるんじゃないかしらという陰謀説を立ててみました。

自分でそう思うと、恐ろしいことにそちらにどんどん気持ちが傾いていくのですね。

(あなたは陰謀論好きやからね・・と家人)

 

決めました。新聞自体にはオピニオンとしては何の期待ももうしないけれど、

このコラムの行く末はしっかり見ておこうと。

そして、私の思ったとおりだったら、長い長い、たぶん28枚くらいの抗議文を

新聞社に送って、私は読者を辞めます。

何十年ぶりかで、新しい新聞を探すことになるでしょう。

 

・・・だからといって誰一人困ることも、嘆くこともないでしょうが・・(悔)

今日も長いおつきあいありがとうございました。。。

 

 


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