腹の虫

2022年02月07日

かの地がうどん県と呼ばれて久しいですが、そのうどんの聖地には美味しい

ラーメンもあります。

しかも、こんなに安い、早い、旨いをうどんで体現しているかの地でのラーメン店で

それなりの支持と年期を誇っているというのは、なかなかの至難の業。

中心部から離れていますので私はそこに行くのに高速を使います。冗談ではなく

そういうファンは多いのです。

そして、年期を誇るだけにその店はいくつかの支店を出しています。

創業者さんは味にこだわり続けているそうですが、それがどう支店に反映されているか、

継承されているか・・これはなかなかに難しい問題です。

 

げんにこの店が空港に出した支店はひどかった。

もともとのファンなのでより近くに支店ができたと喜んでいきました一回目は空腹に気絶

するほど待たされ、二回目はさらに待たされあげく茹で足りないつけ麺をもったいぶって

提供され、しかも場所が空港ということから私の後ろに並んだ東京からのご夫妻が飛行機の時間

気にしておられたので、間に合いません。地元の味ならお向かいのうどん屋さんで堪能できますよ

まで教えてあげ(・・それは余計なことかもしれませんが・・)

散々な目にあいました。

 

それでも本店は味を守り続ける第二世代が頑張っており、私はそれなりに満足しておりました。

ちなみに、空港店はまもなく閉店いたしました。空港側の正しい判断だったと私は理解しました。

 

そんなお店がなんと、弊社のほんの近くに支店を出しました。

私空港店のことがありますので、この店の支店には少々懐疑的的です。

すぐに飛びつくことはできませんでしたが、訳あって(たいした訳ではないのですが)

行くことなりました。

店内は細長いウナギの寝床のような作りで、いかにも凝ったラーメン店の風情です。

入口に発券機を置いてあるのも同じ。

そして、いつものお店のと同じメニューを私は選びました。

そんなに待たされることもなく、お店はすいてましたし・・

ほどなくきたラーメンを啜って・・塩っ辛いというのが第一印象。

それに麺が粉っぽい。前日に拘った麺を自分で打っているというテレビを

見ていたせいか(別のラーメン店ですよ)なんだか、麺に厳しいかなとも思いましたが

スープの塩辛さはすごく気になりました。

チャーシューは大きいのですが薄く薄く切っているので、昔のロースハムみたいです。

なんで?  支店と銘打っているのに本店とこうも違うの?

 

聞きたい気持ちを、家人と店員さんの会話が邪魔します。

家人「ここ、あのお店の支店よね。がんばってるよね。」

店員「はい。ここはここでがんばってます。よろしくお願いします。」

家人「近くにできて愉しみよ。」

 

・・・・私は黙って啜りますが、家人は旨い、旨いとすすります。

ちなみに私たちはそれぞれ違うメニューです。

ただ、私は美味しくないと思うと、そのまま残します。

時には一口で箸を置くこともあります。帰りにコンビニのおにぎりを

買っても、そうするタイプの人間なのです。

 

もちろん、その時も半分くらいで箸を置きました。

どうなん?家人が囁くので「塩っ辛い」と囁き応えると自分のラーメンの

スープまで飲み干して私の丼に手をつけます。

そして「ほんとに少し、塩っ辛いかな」などと呟きながらそれも飲み干します。

 

にこやかに「ごちそうさま」と言葉を交わして外にでると「ほんとに、ちょっと辛かったね。」と

しらっとした顔で言うのです。

「ならなんで残さないのよっ。飲み干したら彼らは味が受け入れられてないの判らないよ。

あなたみたいな日和見客がお店を潰すのよ。美味しいか美味しくないか、ちゃんと判らせて

あげないと、この店もそう長くはもたないわよ。」

 

自分が味のすべてを知っているとは思いませんし、言う事もありません。

でも、なんでも同じように受け止めるのは優しさですか。

 

人はそれぞれでも、そういう批判もあるのだということを、判る店は判ります。

ただの食べ残しと捨てる店はそれだけのことです。

お店が真剣に提供してくるなら、私はせめて真剣にそれに応えるために

時にはこうして食べ残します。

いまの時流に反していても、優しさがないと誹られてもです。

優しいだけで生きられる世の中は嘘だらけです。

ほんとの優しさが判らなくなります。

厳しいことや、いやなことがあってこそ、喜びや楽しみが見つけられるのと

おなじことです。

 

・・・・それにして、まだこんな時間だというのに、お腹のムシが騒ぎます。

意地を張るのは、なかなかに大変です。。。

 


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