分裂

2022年02月17日

年のせいなのか、生来の気質なのか今ではもうよく判らなくなっていますが、

最近は愚痴が多くなっていることは自覚しています。

人を見る目にも、物を確かめる目にも、感嘆と疑惑の比率が少しづづ変化して

いることも自覚しています。もちろん年々疑惑の占める割合が恐ろしい勢いで

増殖していることを・・です。

 

年をとれば見えてくるものがたくさんあることは、年を取ってみなければ判りません。

若い時はどうやってもそれは見えないのです。

それが見えた時に、黙って心に仕舞う人もいれば、気付かぬふりをする人もいます。

また、それを大言壮語して説教する人もいれば、ひ今はっそりと嫌味にまぶして巻き散らかす

人もいます。もちろん私はその最期のタイプです(笑)

 

周りは迷惑でしょうが、いままで付き合ってきたのですから、あと何十年かの辛抱とおもって

我慢することですね。こちらは変わりません。悪しからず・・・

 

ここでそんな悪意的な開き直りをテーマにしょうとしたわけではなかったのですが、

なぜかこんな方向に行ってしまうのは、これもやはり私の人徳(・・とは言いませんよね・)

なのでしょう。

 

北京オリンピックも知らぬ間に始まって終わって・・いや、まだ終わってはいませんが、

興味がありませんので、一日中カーリングの試合見ている家人の隣で、私は宮部みゆきさんの

傑作中の傑作「模倣犯」をゆっくりと堪能しておりました。

もちろん、宮部ファンの私としては単行本で読破して久しいのですが、先日BSで映画化したのを

見て怒りがこみあげてまたぜひとも読みたくなったのです。

私は子供時代からの愛読家で読む量は同世代ではまずベスト10に入ると思います。なんのベストかは

申しませんが・・。

そんな私ですが、読み終わった本は手元にはおかず、片っ端から古本屋さんに持って行きます。

貯蔵なんてしていたら我が家は大変なことになります。

何年か前からは老年期になったらもう一度読むための本を厳選して置いておくようになり

ましたがそれも最近のことなので、それ以前のものはないのです。どんなに感激していたもの

でも・・。それで最近は思い返したものからまた購入することにしました。今回の模倣犯

のように。これ文庫本で五冊あります。

 

映画化された時、主役の網川浩一を中居正広さんが演じると知って見に行くのを辞めました。

そして幾星霜・・もちろんBSですから昔の映画です。主役に変わりがあるはずはないです。

でも、折角だからと見たのですが・・・

見ていてだんだん腹が立ち、見終わると怒りに奮い立ちそうでした。

ひどい・・あまりにひどい。こんな原作者をバカにした映画があるか・・

原作以下の映画は数多ありますが、それでも映画館で見て「金返せっ」

テレビで見て「お金払ってまで見なくてよかった」程度です。

 

それが今回は怒りに全身が震えました。そしてその日のうちにネットで検索し

模倣犯全五巻を手に入れました。

 

何時読もうかと大事に置いておいたのですが、つい蔵書が切れた三日前。

手にしたのが運の尽き・・やめられなくってしまいました。

食事の支度するのも惜しい。寝るのも惜しい。そんな時間をすごしていると

北京オリンピックがまことにありがたい。

唯一の話し相手の家人が、テレビにかじりついているのですから、私が

いつまで本を読もうと誰も何も言いませんし、迷惑もかけません。

あとで聞くと、読んでる間になにか言ったらあとが恐ろしいと告白はしました

けれど・・。

 

やはり読書は偉大です。

記憶と想像と充実とをフルセットでもたらせてくれます。

映画を見た後のあの怒りも震えも、フルセットの前ではなんの影響もありません。

私はいつにない満足感で読み終えました。

 

そしていま・・その喪失感に苛まれているのです。

終わってしまった喪失感。いまは「ロス」と呼ばれていますね。

あの有馬のおじいさんに、塚田真一君に、前畑滋子さんに・・犬のロッキーに

すら会いたくて、会いたくて堪りません。

 

こんな私に次出会う本は気の毒です。何読んでも「フン」と醒めた目で見る自分が

見えています。

しばらくはこんな状態が続きますが、読書をやめようとは思わないのです。

余韻と行為は全く別の処に存在するのです。

・・・ほんとに、判らない性格ですよ←カゲの声(じつは、家人らしいです)。。。

 

 

 

 


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